2018年3月13日火曜日

小田原寺子屋スクール 平成30年3月度の授業

平成30年3月11日(日)に3月度の授業を行いました。

【第一時限】栗田亘先生

 今月は「墨子」について学びました。授業の冒頭で、栗田先生が北朝鮮とアメリカの首脳会談のニュースを紹介されましたが、「戦争」と「平和」の話題は墨子の思想と関連があります。
 墨子は、紀元前5~4世紀頃に実在した人物ですが、生まれた年や死んだ年は分かっていません。名前は翟(てき)と言い、中国古代の思想家としては珍しい技術者で、「墨家」と呼ばれる墨子の思想集団は技術者集団でした。その教えは「非攻」、「兼愛」です。「非攻」とは攻めない、戦争をしないことであり、墨子とその弟子たちは、大国の楚が小国の宋を攻めようとしたとき、宋の危機を救いました。防御戦術に用いる器械類の製造に詳しかった墨家の技術が大いに役立ったそうです。「兼愛」は自他の区別なく、みんなを愛することです。墨子は、人を殺せば不義(正義、道徳に反する行い)だと認める当時の身分の高い人たちが、他国を侵略するという大きな不義を非難しないどころか正義だといって称賛したことを批判しました。
 授業の最後に学んだ「墨守」という言葉は、墨子の守る城が何度攻められても陥落しないことから、自分の思想、信念などを固く守り通すことを意味します。

【第二時限】伏見勝先生(元報知新聞社長)

 伏見先生には、前回2015年10月の授業でテレビや新聞の「報道」、そのあり方について講義をして頂きました。今回は「読書」についてです。昨年、ある大学生の投書が話題となりました。なぜ読書をしないといけないのか?これまで全く読書をしなかったが特に困らなかった、というものです。
 読書について、作家の恩田陸さんは「とにかく本を読んでいないと自分がスカスカになっていく感じがする」、元伊藤忠商事社長の丹羽宇一郎さんは「心が潤うから読む」という言葉で表現されています。本を読むと、自分の世界が広がる、物事を考えるようになる、楽しむことができる、知識が広がる、ということを教えて頂きました。伏見先生は、本を読んでいるうちに自分の腹が座ってくる、何かあっても動じなくなってくる、やっていいことといけないことを自然に覚えるようになる、本は心に栄養を与える、とおっしゃっています。
 『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎著)の岩波文庫本、『飛ぶ教室』(エーリッヒケストナー著)、『白バラは散らず』(インゲ・ショル著)、『罪と罰』(ドストエフスキー著)、21世紀少年少女世界文学館セットなど、数多くの本を推薦して頂きました。


 次回から第九期がスタートします。4月度の授業は、4月8日(日)を予定しています。第一時限は栗田亘先生、第二時限は窪田哲夫先生(恵那市佐藤一斎「言志四録」普及特命大使・前拓殖大学客員教授)をお招きします。窪田先生の講義タイトルは「西郷どんが愛した言葉・佐藤一斎の言志四録(日本人の心)」です。

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