2018年1月30日火曜日

小田原寺子屋スクール 平成30年1月度の授業

平成30年1月14日(日)に1月度の授業を行いました。

 1月初、発足当初から小田原寺子屋スクールを支えて来られた岩堀道夫さんがお亡くなりになり、授業のはじめに皆で黙とうを捧げました。心よりご冥福をお祈りいたします。

【第一時限】栗田亘先生

 今月は「ともだち」に関することばを学びました。「知己(ちき)」は、自分の気持ちや考えをよく理解してくれる人、親友です。「知音(ちいん)」は、心の底を打ち明けて話すことのできる友、心の通じ合った親友、無二の友のことで、中国の古典『列記』に記された、伯牙(はくが)と呼ばれる琴の名人とその友人の鐘子期(しょうしき)のエピソードがもとになっています。鐘子期は、伯牙が奏でる琴の音を巧みに聞き分けることができたそうです。「竹馬(ちくば)の友」は、幼いとき一緒に竹馬遊びをした友だち、おさなともだちのことです。劇作家の久保田万太郎は、おさなともだちのことを懐かしく思い、「竹馬やいろはにほへとちりぢりに」という俳句を詠んだことや、『論語』には「朋あり遠方より来たる、亦た楽しからずや」という孔子のことばがあることも教えていただきました。
 友人との別れの光景を詠った「酒を勧む」は、9世紀の詩人、于武陵(うぶりょう)の詩で、日本の井伏鱒二によって「コノサカヅキヲ受ケテクレ ドウゾナミナミツガシテオクレ ハナニアラシノタトヘモアルゾ 「サヨナラ」ダケガ人生ダ」と訳されています。

※先月の授業で学んだ「曲阜(きょくふ)」の「阜」という文字について
 もとは、天に昇るはしごを示す象形文字で、高いところ、丘という意味があります。

【第二時限】柴田秋雄先生(元JR連合事務局長)

 柴田先生は、国鉄(現JR)に入社され、1992年から日本鉄道労働組合連合会(JR連合)の事務局長、2000年から2010年までホテルアソシア名古屋ターミナルホテルの総支配人を務められました。授業では「日本一幸せな従業員をつくる!」と題して、ホテルの総支配人をされていたときのことを話して頂きました。これまで数万人を対象に全国約200か所で講演され、今は思うように声が出ず不自由されていますが、精力的に活動を続けられています。
 ホテルの売上が減少していた2000年当時、柴田先生は従業員が毎日喜んで働けるホテルを目指し、新たな設備ではなく「人」に投資することを決断され、人を大切にする新しい社是を定め、従業員の共通の認識としました。同年9月に名古屋を集中豪雨が襲った時には、鉄道が止まり、駅で帰宅できず立ち往生していた人々のためにホテルを開放し、従業員の心温まるもてなしが話題となりました。その後、ホテルは黒字に転換、2003年の年間稼働率は名古屋市内で1位となったそうです。2010年にホテルがなくなるまで、自分の仕事は従業員を幸せにすることという信念のもと、従業員ひとりひとりを大切にし、上司が部下の心の支えとなることに力を注がれたそうです。
 生徒からの質問に対し、自分のことよりも相手を大切にするのが「人」である、とおっしゃっていました。

 次回、2月度の授業は、2月11日(日)を予定しています。第一時限は栗田亘先生、第二時限は向江隆文先生(元NHK沖縄放送局長)をお招きします。向江先生の講義タイトルは「沖縄の歴史から”ぬちどうたから”(命が宝)と”ちむくぐる”(肝心)」です。