2017年11月14日火曜日

小田原寺子屋スクール 平成29年11月度の授業

平成29年11月12日(日)に11月度の授業を行いました。

【第一時限】栗田亘先生

 今月は、詩に関係する古代中国の言葉を二つ学びました。一つ目は「他山の石」です。
 ◆他山の石、以って玉を攻(みが)くべし   『詩経』から
は、「ほかの人の行いを参考にして、自分を反省し、向上に努めなさい。」という意味です。もともとの意味は「他国で産出した質の悪い石であっても、砥石として使えば、自分の持っている宝玉を磨くことができる。」です。「あなたを他山の石として努力します」という人がいますが、これは大変な間違いで「他山の石」とは真似してはいけない手本のことです。
 二つ目は「守株(しゅしゅ)」です。
 ◆株を守って兎を待つ  『韓非子』から
は、「いつまでも古い習慣を守るばかりで進歩がないこと。」という意味です。ある男が畑を耕していたとき、ウサギが飛び出してきて、畑の中の株にぶつかって死んでしまいました。男はウサギを料理して楽しみ、それからは畑仕事をやめて、またウサギを手に入れようと毎日株を見張っていました。しかし、ウサギはそれきりで、男はみんなの笑いものになった、というたとえ話からこの言葉が生まれました。北原白秋の詩を山田耕筰が作曲した「待ちぼうけ」は、「守株」をそのまま借りた歌であることを教えて頂きました。「待ちぼうけ」は、もともとの意味と違って「怠けるな、せっせと働け」という意味です。
 このように、古代中国の詩や言葉が、生まれた当時と異なる意味を持ち、今の日本で使われていることを学びました。

【第二時限目】田中和雄先生(出版社童話屋代表)

 田中先生は、1977年、渋谷に童話屋書店を開き、1980年には本の出版を始められました。現在、童話屋の代表を務められるとともに、ボランティアで日本全国の学校をまわり、国語の授業で子供たちに詩を教えられています。
 子供の頃から本が大好きで、大人になったら本屋になりたかったそうです。戦後の神田で、みかん箱の上に本が並べられた古本屋に通い、「ファーブル昆虫記」や「イワンのバカ」など、岩波文庫の本を夢中で読まれたそうです。40代になって広告会社を辞め、本屋の夢を叶えられました。谷川俊太郎さんと店の中で始められた朗読の集い、安野光雅さんと「魔法使いのABC」を初めて出版されたこと、工藤直子さんとの交流から生まれた「のはらうた」など、本を通して多くの人と出会い、色々な仕事を経験されてきました。また、1978年、イトーヨーカドーの中に初めてオープンした「子ども図書館」は、田中先生のアイデアから生まれ、2009年の閉館に至るまで、31年間で延べ16館できました。
 授業の最後に、童話は「真実のお話」であるというトルストイの言葉通り、これからも本当のことを語り続けていきたい、とおっしゃっていました。


 次回、平成29年12月度の授業は、12月17日(日)(於:風間ビル)を予定しています。第一時限は栗田亘先生、第二時限は朝比奈豊先生(毎日新聞会長)をお招きします。朝比奈先生の講義タイトルは、「新聞論」です。

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