2017年7月5日水曜日

小田原寺子屋スクール 平成29年6月度の授業

平成29年6月11日(日)に6月度の授業を行いました。

【第一時限】栗田亘先生

 今月は、昔々の中国で生まれ、現代でもよく使われている二つの言葉を学びました。「衣食足りて礼節を知る」は、孔子よりも百年ほど前に活躍した政治家で、斉という国の総理大臣だった管仲の言葉です。生活が安定すれば、人間は礼儀や節度をわきまえるようになる、という意味です。「天網恢恢、疎にして漏らさず」は、6世紀に書かれた歴史書『魏書』に、老子の言葉として出てきます。天が張る網はとても広くて、しかも網の目は粗いから人間の目には見えず、何の役目もしないようでありながら、実は決して悪いことをした人を逃すことはない、という意味です。
 現代では、必ずしもこの二つの言葉通りと言えないこともありそうです。だからと言って、二つの言葉に意味がないということではありません。現代は、管仲の時代に比べれば衣食住が足りているはずなのに、なぜ礼節をわきまえないことがあるのでしょうか?悪事は、今すぐでなくとも後から分かることもあります。大切なことは、先人の言葉を学んだ上で、現代に通用するかどうかを考えてみることです、ということを教えて頂きました。

【第二時限】牧野義司先生(メディアオフィス時代刺激人代表)

 牧野先生は、毎日新聞社に20年、英国ロイター通信社に15年勤められた後、現在も生涯現役の経済ジャーナリストとして活躍されています。授業では、先行き不透明で混迷の時代を迎えた今、先を見通すために大切なことについて解説して頂きました。
 英国のEU離脱や米国大統領選では、日本や欧米のジャーナリストが「読み」を誤ってしまったこと、その原因は現場取材を怠ったことにあったと分析され、ジャーナリストは、今のような混迷の時代こそ、しっかりとした現場取材を通じて、先行きを見通す情勢判断力を持つこと、行動するための座標軸をしっかり持つことだと強調されました。同時に、ジャーナリストだけでなくこれから世の中で活躍する若者たちも「旺盛なる問題意識に裏付けられた好奇心」「フットワークのよさ」「ネアカコミュニケーション力」の3つを持つこと、そして現場に軸足を置きしっかりとした問題意識で社会に役立つ活動を行えば、地域社会だけでなく日本、そして世界を元気にしていくことにつながると教えて頂きました。

 次回、平成29年7月度の授業は、7月9日(日)を予定しています。第一時限は栗田亘先生、第二時限は鈴木洋嗣先生(文芸春秋社編集局長)をお招きします。鈴木先生の講義タイトルは、「『週刊文春』の出来るまで」です。

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