2017年5月19日金曜日

小田原寺子屋スクール 平成29年5月度の授業

平成29年5月14日(日)に5月度の授業を行いました。

【第一時限】栗田亘先生

 今月のテーマは「見方を変える」です。授業の始めに、私たちが普段目にすることのない日本地図を見せて頂きました。この地図は富山県庁が作成したもので、日本海を中心にして下方にロシア、中国、朝鮮半島、上方に太平洋が描かれています。同じ日本地図でも、どんな角度から見るかによって違って見えることがあるということを理解することができます。
 「蝸牛角上何事をか争う」は、白居易の詩の中のことばで、「蝸牛」すなわち「カタツムリ」の角のような小さい世界で何を争っているのか、という意味です。このことばのもとになっているのは、中国・戦国時代の思想家、荘子や弟子たちのの著作『荘子』に出てくるたとえ話です。戦国時代に魏の国と斉の国との間で条約が結ばれましたが、魏がこの条約を一方的に破ったために、斉の王が激怒し、魏の王を暗殺するか、大軍を差し向けて攻撃するかという話になりました。そのとき、一人の賢者が、2つの国は宇宙の彼方から見ればカタツムリの角の上にあるような小さな存在に過ぎないことにたとえて斉の王を諭しました。「見方を変える」ことの教えを、白居易のことばや荘子のたとえ話からも学びました。

【第二時限】加藤憲一先生(小田原市長)

 講義タイトルは「いのちを守り育てる地域自給圏を目指して」です。授業の前半で、その背景となったご自身の体験、理想の地域イメージ、いのちを支える上で必要なものについて教えて頂きました。子どもの頃の山での生活、3つの震災(阪神淡路、中越、東日本)、農・林・漁の暮らしを通じて、自分の手で、自分の力で生活することを体験されたことがきっかけとなり、映画『風の谷のナウシカ』に出てくる「風の谷」のように「水が巡り、森が茂り、大地は豊穣で、人々は朗らかに支え合い分かち合う」そんな理想の地域をイメージされているそうです。内橋克人氏、宇沢弘文氏、神野直彦氏の3人の識者のことば、著書の内容に触れ、いのちを支える上で必要なものが、空気、水、食、エネルギー、住まい、ケア(医)、教育、ものづくり(とりわけ一次産業)であることを学びました。授業の後半では、人口30万人前後を一つの単位とする「地域圏」、自然環境や立地条件に恵まれた「小田原」、持続可能な地域社会を目指し市で取り組まれていることについて解説して頂きました。

 次回、平成29年6月度の授業は、6月11日(日)を予定しています。第一時限は栗田亘先生、第二時限は牧野義司先生(メディアオフィス時代刺激人代表)をお招きします。牧野先生の講義タイトルは、「混迷の時代にはジャーナリストが面白い」です。

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