2016年12月25日日曜日

小田原寺子屋スクール 平成28年12月度の授業

平成28年12月18日(日)に12月度の授業を行いました。

【第一時限】窪田哲夫先生(拓殖大学客員教授)

 窪田先生は、現在、大学の先生、佐藤一斎を学び『言志四録』普及特命大使として活躍されています。授業の冒頭で「書に学び、人に学び、天地、自然に学ぶ」という言葉を教えて頂き、知新君という主人公が岐阜県恵那市の岩村を舞台に佐藤一斎というおじいさんから、勉強すること、学ぶことの大切さを知るというアニメを見せていただきました。人が勉強をするのは、大切な人を幸せにするため、誰かの役に立つため、という教えです。
 佐藤一斎の『言志四録』は1133条から成り、その中から「一燈を提げて暗夜を行く。暗夜を憂うること勿れ、只だ一燈を頼め」という言葉を学びました。人には誰にでもすばらしい叡智があり、それを信じて生きなさい、という意味で、全員で声を出して何度も復唱しました。岩村の小学生は、卒業までに『言志四録』にある100条の言葉を暗記するそうです。このほかにもたくさんの言葉を紹介、解説していただき、授業の最後のまとめでは「人間として生まれたからには、事を為すためにあり」という言葉を学びました。


【第二時限】石沢賢二先生(国立極地研究所 極地工学グループ)

 石沢先生は、東京都立川市にある国立極地研究所に勤務され、これまでに南極観測隊の越冬隊を5回、夏隊を2回経験されています。授業では、南極の歴史、地理、自然、観測基地や観測船、現地での生活に至るまで、120ページ以上にも及ぶスライドを用いて分かりやすく解説していただきました。1911年に初めて南極点に到達したノルウェーのアムンセン隊と、翌年約1か月遅れて南極点に到達したものの、帰路に全滅してしまったイギリスのスコット隊との違い、南極大陸の面積は日本の37倍もあり、最高峰は4892mで富士山よりも高いこと、観測船が後退・前進を繰り返して厚い氷に体当たりしながら進んでいくラミングという砕氷法のことなど、多くのことを学びました。
 先生から子供たちへ、すぐに投げ出してしまう”不まじめ”や、何でも言われた通りにする”まじめ”ではなく、行き詰まったら別のやり方を考える”非まじめ”のススメをメッセージとしていただきました。また、人間の力は自然にかなわない、草木があって小川が流れる普通の自然はすばらしい、家族と暮らせるありがたさ、をこれまでの南極体験から感じられているそうです。授業の最後に、南極で採取された貴重な氷を見せていただきました。


 次回、平成29年1月度の授業は、1月8日(日)を予定してします。第一時限は、窪田哲夫先生(拓殖大学客員教授)で12月度に引き続き『言志四録』について講義して頂きます。第二時限は河合忠彦先生(筑波大学名誉教授)で講義タイトルは「薄型テレビ戦争においてソニー、パナソニック、シャープはなぜ敗れたのか」です。

2016年11月23日水曜日

小田原寺子屋スクール 平成28年11月度の授業

平成28年11月13日(日)に11月度の授業を行いました。

【第一時限】宮崎緑先生(千葉商科大学教授 国際教養学部長)

 宮崎先生は、NHKテレビ『ニュースセンター9時』で初の女性キャスターを務められ、現在は千葉商科大学の国際教養学部長としてご活躍中です。また、「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」の委員などを務められています。
 授業では、最新のニュースを取り上げ「なぜ、アメリカ大統領選挙でトランプ氏が選ばれたか?」について解説して頂きました。クリントン氏にまつわる過去の事件、人種差別と女性差別に対するアメリカ人の考え方、トランプ氏のメッセージの分かりやすさなど、様々な理由があることを学びました。その中でも、宮崎先生が特に強調されたキーワードが「Identity Crisis」です。今のアメリカは、アフリカ系、ヒスパニック系といった移民が増加し、「英語を話す白人の国」ではなくなりつつあります。そのことを”実感”しているアメリカ人の危機感をトランプ氏が捉えたことがポイントであり、世界を視る時、頭や理屈ではなく”実感”が大事であることを教えて頂きました。2014年のスコットランドの独立運動、ロシアのクリミア半島占有、イギリスのEU脱退、いずれもIdentityを巡る問題で世界が揺れ動いていく中、子供たちへの期待を込めて「Think Globally, Act Locally(着眼大局 着手小局)」のメッセージでしめくくられました。


【第二時限】栗田亘先生

 今月は、中国第一の大河、長江とその沿岸の名所にまつわる漢詩を学びました。長江は全長6300キロメートルでアマゾン川、ナイル川に次いで世界第三位の長さです。有名な揚子江という呼び名は、長江の下流の名前です。川沿いには多くの大都市があり、栗田先生は、その一つ重慶から下流の上海までの約1300キロメートルを船で航行されました。途中にある世界最大級のダム「三峡ダム」や「白帝城」「黄鶴楼」などの名所を訪問され、現地で撮影された写真を紹介して頂きました。
 漢詩は、李白の有名な作品「早発白帝城」と「黄鶴楼送孟浩然之広陵」の2つを学びました。いずれの詩も1行7文字、4行の合計28文字で構成され、1、2、4行目の最後の漢字は韻を踏むというルールがあることを教えて頂きました。

 次回、12月度の授業は12月18日(日)(第3日曜日)を予定しています。第一時限は石沢賢二先生(国立極地研究所 極地工学グループ)で講義タイトルは「極寒と強風の中で活動する南極観測隊の生活」です。第二時限は窪田哲夫先生(ジェイアール東海エージェンシー元常務)に佐藤一斎の『言志四録』について講義して頂きます。

2016年11月5日土曜日

小田原寺子屋スクール 平成28年10月度の授業

平成28年10月9日(日)に10月度の授業を行いました。

【第一時限】 栗田亘先生

 10月は、先月学んだ「西安」に続いて、中国の古都「洛陽」について学びました。洛陽は人口710万人の大都市で、西安から380キロメートルのところにあります。授業では、栗田先生が先月現地で撮影された写真を交えながら、現在の洛陽の様子を紹介していただきました。繁華街の通り、店番をしながら本を夢中で読んでいる子供、お葬式の道具店、高層ビル、世界遺産の「龍門石窟」、白居易の墓「白園」などです。
 芥川龍之介が書いた『杜子春』は洛陽を舞台とした作品で、授業ではその一節を学びました。また、洛陽に関係のある言葉「洛陽の紙価を高からしむ」の意味や白居易の代表作『長恨歌』のこと、唐の詩人・劉希夷が書いた詩の中の有名な一節「年々歳歳、花相似たり 歳歳年年 人同じからず」について学びました。

【第二時限】 瀬野和広先生(設計アトリエ代表取締役)

 瀬野先生は、建築家として家をつくる仕事に携わられ、テレビ番組「大改造!!劇的ビフォーアフター」では匠として活躍されています。山形県のご出身で、子どもの頃は、仲間と川の土手に穴を掘ってヨコ穴式住居をつくったり、藪の中にたて穴式住居をつくったり、冬になると2階建てのかまくらをつくって、夢中で遊んだそうです。樹の上にツリーハウスをつくろうとして、友達がケガをし途中であきらめたことや、家にあった庭の道具を勝手に持ち出してもご両親から叱られることがなかった、といったエピソードを先生が描かれた絵を交えて紹介していただきました。絵を描くことが趣味でもあり仕事でもあり、いつでもどこでも頭に浮かんだイメージを絵に描いて残されているそうです。授業では、年一冊のペースで描かれている、家のデザインやアイデアが詰まった携行用のスケッチブックの実物を見せて頂きました。
 最後に、人と人とのふれあいを大切にする”縁側づくり”のお話、「することがある。行くところがある。そして会う人がいる。」というメッセージを頂きました。


 次回、11月度の授業は、11月13日(日)を予定しています。第一時限は宮崎みどり先生(千葉商科大学教授 国際教養学部長)で、講義題名は「世界を視る目 国際社会の動きの見方」です。第二時限は栗田亘先生をお招きして行います。

2016年9月26日月曜日

小田原寺子屋スクール 平成28年9月度の授業

平成28年9月11日(日)に9月度の授業を行いました。

【第一時限】栗田亘先生

 今月は、栗田先生が訪問されたばかりの中国の古都「西安」を現地の写真を交えて紹介いただきながら、李白の詩を学びました。西安は、古くからある都「洛陽」の西に位置することからその名前がつき、昔は「長安」と呼ばれました。紀元前11世紀から紀元後10世紀までの約2千年間、都として栄え、歴史上の有名な人物「秦の始皇帝」「漢の武帝」「司馬遷」「楊貴妃」などがこの都を中心に活躍しました。現在の西安は人口8百万人、中心部は高層ビルが立ち並ぶビジネス街、郊外は工業地区になっています。西安と北京などの大都市は、日本の新幹線にあたる高速鉄道で結ばれ、その平均時速は3百キロとかなり速いですが、栗田先生は揺れが少なく乗り心地は良かったとおっしゃっていました。また、西安にある世界遺産、秦の始皇帝の兵馬俑(へいばよう)についても詳しく解説していただきました。兵馬俑とは兵士と馬のはにわを意味し、実物は高さ1.7~1.9mと大きいそうです。
 詩人の李白(701~762年)も長安に住んでいたそうです。授業では「子夜呉歌(しやごか)」という詩について解説していただきました。「長安一片の月」から始まるこの詩は、戦場に出て行った夫の帰りを都で待ち続ける妻の気持ちを詠っています。

【第二時限】小林輝夫先生(元二宮尊徳記念館長)

 小林先生は、現在、尊徳記念館の解説員として活躍されています。二宮金次郎(尊徳)の一生について解説していただき、金次郎の生き方、教えの一端を学びました。金次郎の生き方は「読書は縦糸、実行することは横糸」という言葉で表されることを教えていただきました。また、心豊かに生きるための教えとして、「売って喜び、買って喜び、信頼を得る」という商売の考えや、「人の手は自分のこともできるが、人を助けることもできる」ということをお話していただきました。このことは、福祉としての考えにも通じています。授業後半では、二宮金次郎の歌や栃木県の今市にある金次郎の墓などについて紹介していただきました。


 次回、10月度の授業は、10月9日(日)を予定しています。第一時限は栗田亘先生、第二時限は瀬野和広先生(設計アトリエ代表取締役)をお招きして行います。

2016年7月16日土曜日

小田原寺子屋スクール 平成28年7月度の授業

平成28年7月10日(日)に7月度の授業を行いました。

【第一時限】栗田亘先生

 今月は、栗田先生が6月26日の特別公開講座で話をされた「五十歩百歩」について詳しく解説していただきました。元の言葉は「五十歩を以て百歩を笑う」で、少々の違いはあるが、本質的には同じこと、という意味です。この言葉は、孟子が中国の梁の国の王様に説いたたとえ話から生まれました。戦場から五十歩逃げた一人の兵隊が、百歩逃げたもう一人の兵隊のことを臆病だとあざけった、という話です。この話は、孟子が自分が考える「本当に良い政治」を王様に説くための前置きだったそうです。このあと、王様は孟子の考えに納得せず孟子を批判します。このように「五十歩百歩」から、孟子の考えや教えを学ぶことができました。一方、「五十歩百歩は、ほんとうに五十歩百歩だろうか?」、「五十歩逃げた兵隊の言っていることは間違っていない」という考え方もあることを教えていただきました。

【第二時限】小野直路先生(前NHK副会長)

 小野先生は、NHKの科学番組「ガッテン」「ロボコン」を制作され、現在ディレクターとして活躍されています。授業では、「時間」をテーマに、宇宙、地球、日本列島誕生の歴史について分かりやすく解説していただきました。宇宙はおよそ137億年前、地球は46億年前に誕生しました。日本列島は3千万年前に大陸から分かれ、3百万年前に現在の形になったそうです。日本列島の歴史は岩石から探ることができ、日本最古の石は20億年で岐阜の飛水峡で発見されました。授業では実際に各地の石を見せていただきました。長い地球の歴史を長さ50mのトイレットペーパーにたとえると、人類の歴史は5cm程度に過ぎないことを教えていただき、果てしない時間の流れに驚かされます。大陸や山は、長い時間をかけて少しずつ変化してできたように、少しずつ積み重ねていくことの大切さ、根気強く努力し続ければ大きなことも成し遂げられるということを教えていただきました。「雨洗風磨」「愚公移山」という言葉です。


 8月は、野外活動(8月21日(日)午前9時、本應寺集合、雨天の場合は中止)です。参加ご希望の方は、7月31日までに事務局までご連絡ください。8月14日は、授業はありませんのでご注意ください。

2016年7月9日土曜日

小田原寺子屋スクール 特別公開講座

 平成28年6月26日(日)、昨年に引き続き、小田原市教育委員会と共催で小田原市生涯学習推進員の会のご協力のもと小田原市民会館の小ホールにて特別公開講座を開催いたしました。石塚理事長の挨拶に続いて、3名の先生方にご講演をいただきました。
(1)栗田 亘 先生 (元朝日新聞天声人語コラムニスト) 「五十歩百歩」は「五十歩百歩」か
  -小田原寺子屋スクールの漢文授業-
(2)高橋 宏 先生 (元東洋経済新報社会長 小田原出身) 中国経済とアベノミクスの行方
(3)山口 学 先生  ((株)関電工会長 湯河原出身) 日本のエネルギーの課題
 講演会の参加者数は126名でした。小田原はもとより、遠方からも多くの方にご参加いただき、ありがとうございました。

2016年6月22日水曜日

小田原寺子屋スクール 平成28年6月度の授業

平成28年6月12日(日)に6月度の授業を行いました。

【第一時限】 栗田亘先生

 今月は、「五里霧中」「指南」「蛇足」「李下の冠を正さず、瓜田に履を入れず」の4つの言葉とその成り立ちについて学びました。「五里霧中」は、ものごとの判断がつかず、どうしていいか分からなくなるという意味ですが、「五里夢中」と間違えて書く人がいます。正しい読み方は「ごりむ・ちゅう」で、「ごり・むちゅう」ではありません。後漢の時代、張楷(ちょうかい)という妖術使いは、五里四方を包み込む霧(五里霧)を起こすことができました。その霧の中に入ってしまった人は、方角がまったく分からなくなり、動けなくなったという話から「五里霧中」という言葉が生まれました。このように、言葉の成り立ちを理解していれば、字を間違えることがないということを教えていただきました。他の3つの言葉も、昔の中国のたとえ話から生まれたことと、その成り立ちについて分かりやすく解説していただきました。

【第二時限】 黒岩祐治先生(神奈川県知事)

 黒岩先生は、子どもの頃、文章を書くことと話すことが得意で、将来の夢は政治家になることだったそうです。政治家になって世の中をよくすることをやりたいという思いで中学受験、大学受験を乗り切ってこられました。ところが、大学卒業時、派閥抗争のある政治の社会ではなく、テレビを通じて世の中をよくしていくことを決心し、フジテレビに入社されました。テレビ局の記者時代には、当時の日本の救急車には医療がないことに問題意識を持ち、救急医療キャンペーンを提案、キャスターとして活躍されました。放送回数は2年間で100回にも上り、現在の救急救命士が誕生しました。”いのち”へのこだわりは、東日本大震災をきっかけにして、神奈川県民の”いのち”を守るという知事の仕事への挑戦へとつながっていったそうです。最後に、多くの人々との出会いが新たな展開を切り開いてくれることや、誰にでも「ミッション(使命)」があり、「パッション(情熱)」をもって「アクション(行動)」することの大切さを教えていただきました。


 次回、7月度の授業は、7月10日(日)を予定しています。第一時限は栗田亘先生、第二時限は小野直路先生(前NHK副会長)をお招きして行います。

 来たる6月26日(日)の特別公開講座(小田原市民会館、13:30~)の参加申込みを受付け中です。詳しくは、本ホームページの「特別公開講座のお知らせ」(先月度の授業紹介の前のページ)をご覧下さい。多数の方のご参加をお待ちしています。

2016年5月13日金曜日

小田原寺子屋スクール 平成28年5月度の授業

平成28年5月8日(日)に5月度の授業を行いました。

【第一時限】 栗田亘先生

 今月は、『韓非子(かんぴし)』から、「矛盾」について学びました。
 『韓非子』は、紀元前3世紀ごろの中国の人、韓非とその弟子たちが考えたことを、それよりも後の時代の人が紀元前2世紀ごろにまとめた本です。私たちが日常使っている「矛盾」という言葉の背景には、法律や賞罰を中心とする政治を説いた韓非の主張があることや、孔子(紀元前5世紀ごろの人)が広めた道徳中心の政治に対する批判が込められていることを教えていただきました。
 現在の世の中にも「石の上にも三年。思い立ったが吉日。」「好きこそものの上手なれ。下手の横好き。」など、矛盾していることばがあり、例を挙げて分かりやすく解説していただきました。

【第二時限】 北村龍行先生(元毎日新聞論説委員)

 北村先生は、小田原のご出身で、毎日新聞の論説委員を務められ、雑誌『エコノミスト』の編集に長年にわたり携わられました。
 授業の前半では、新聞記事の無署名の原則と記事が掲載されるまでの過程、雑誌の原稿との違いについて解説していただきました。新聞記者の役割が、近年、インターネットの普及により変化してきていることや担当(記者クラブ)が1~1.5年で変わるためにプロになることが難しいことも教えていただきました。後半では、バブル経済が1985年ニューヨーク、プラザホテルでの5か国合意をきっかっけとしてどのように拡大し崩壊していったか、この間多くの大企業が倒産し、学歴中心の考え方を見直す時代になっていることを解説していただきました。
 最後に、何を始めるにしても遅すぎることはない、好奇心を持って新しい知識を身に付けていってほしい、という2つのメッセージで結ばれました。


 次回、6月度の授業は、6月12日(日)を予定しています。第一時限は栗田亘先生、第二時限は黒岩先生(神奈川県知事)をお招きして行います。

2016年5月6日金曜日

特別公開講座のお知らせ

昨年に引き続き、今年も3名の先生をお招きして特別公開講座を開催いたします。
多数の方のご参加をお待ちしております。参加費は無料です。
【日時】平成28年6月26日(日)13:30~16:30(受付開始13:00から)
【場所】小田原市民会館 小ホール 
【内容】
(1)栗田 亘 先生 (元朝日新聞天声人語コラムニスト)
  ◆「五十歩百歩」は「五十歩百歩」か -小田原寺子屋スクールの漢文授業-
(2)高橋 宏 先生 (元東洋経済新報社会長 小田原出身)
  ◆中国の経済とアベノミクスの行方
(3)山口 学 先生 ((株)関電工会長 湯河原出身)
  ◆日本のエネルギーの課題
【お申込み】
参加ご希望の方はこちらから↓
https://docs.google.com/forms/d/17SSJlKRqeOazCgoB53wxqXi5YaSjzUTfLTrbmNrFRDg/viewform
上記へアクセスできない場合は、お名前、ご連絡先の電話番号、ご住所を記載の上、下記メールアドレスへお送りください。
メールアドレス info@terakoya-odawara.com
【お問合せ】070-3525-1058 小田原寺子屋スクール事務局(川口)
【お詫び】
小田原市からのお知らせをご覧になった方へ お申込みのご案内が遅れ申し訳ございません。

2016年4月15日金曜日

小田原寺子屋スクール 平成28年4月度の授業

新学期がスタートし、平成28年4月10日(日)に第七期一回目の授業を行いました。

【第一時限】栗田亘先生

 今月は、来日した前ウルグアイ大統領ムヒカさんのことと、老子の一節を学びました。
 ムヒカさんは、地球資源を使い続ける現代社会、消費社会のあり方に疑問を投げかけ、人々の幸せについて言及されていることを解説していただきました。貧困な家庭に生まれ、家畜の世話や花売りなどで家計を助けながら育ったムヒカさんは、知人から譲り受けた1987年製のフォルクスワーゲンに乗り「世界で一番貧しい大統領」と言われていますが、栗田先生は「世界で一番質素な大統領」と表現されています。
 ◆足ることを知れば、辱しめあらず。止まることを知れば、殆うからず。
この老子の言葉は、「ほどほどということをきちんと知れば、無用な恥ずかしい思いをしなくても済む。どこでストップするかを知っていれば、自分の命を危険にさらすこともない。」という意味です。紀元前5世紀頃に活躍したと言われる老子の考え方が現代のムヒカさんの考え方に通じ、そのことへの驚きについて解説して頂きました。

【第二時限】加藤義隆先生(新横まぐろや代表取締役)

 加藤先生は、大阪のご出身で、若い頃に家を出て一人で関東に来られました。子どもの頃は勉強をされなかったそうですが、中学3年生のときに数学の勉強に打ち込み高校に進学できたこと、関東に出て来てからは魚屋に住み込み、魚のさばき方や売り方を一生懸命勉強して自分の店を持つまでになったことの体験を通じて、毎日努力することの大切さを教えていただきました。
 そのことは、「新聞紙を1枚広げてその上に立っても何も見えてこないが、毎日1枚ずつ広げて積み重ね、数十枚、数百枚になって高いところに立つことができると色々なことが見えてくる」という先生のお父様の教えでもあるそうです。「親の恩は海より深し、山より高し」、「学校の勉強は高いところに立つための土台作り」、「土台ができたら自分で何をすべきか優先順位を考えること、工夫すること」という教えを分かりやすく解説していただきました。

 次回、5月度の授業は5月8日(日)を予定しています。第一時限は栗田亘先生、第二時限は北村龍行先生(元毎日新聞論説委員)をお招きして行います。

2016年3月30日水曜日

小田原寺子屋スクール 平成28年3月度の授業

平成28年3月13日(日)に3月度の授業を行いました。

【第一時限】 栗田亘先生

 今月は『論語』から3つ、『易経』から1つの言葉を学びました。
 ◆過ちては改むるに憚ること勿かれ
 ◆過ちて改めざる、これを過ちと謂う
 ◆小人の過つや必ず文る (以上『論語』から)
 ◆君子は豹変す (『易経』から)
 「過ち」すなわち、間違ったことをしたときには、すぐに改めなさい、という教えです。4つ目の「君子は豹変す」は、態度を急に変えること、という間違った意味で使われることが少なくありませんが、本来は、徳のある立派な人は過ちを犯すと態度をすぐに、はっきりと改めます、という意味です。また、『論語』の中では、「子」は孔子のことを意味することや、「小人」と「君子」の違いをイラストで分かりやすく解説していただきました。

【第二時限】 石塚正孝先生(JR東海元副社長)

 石塚先生は、JR東海の副社長として無事故を誇る新幹線の責任者を7年間務められました。東京-大阪間が鉄道で結ばれた明治22年当時、約20時間かかっていた所要時間は、東海道新幹線の開通によって今では2時間25分にまで短縮されました。将来、超電導リニアによる中央新幹線が開通すると67分になります。
 東海道新幹線から超電導リニアの発展の歴史を詳しく解説していただき、世界に誇る高い安全性と正確性は、日本の高い技術力と技術者の壮大な志によって支えられていることを教えていただきました。
 最後に、3月度の授業で新井恵美子先生にお話しいただく予定だった、吉田松陰の妹のことに触れ、吉田松陰の「至誠而不動者 未之有也」(真心で動かない人は未だかつていない)ということばと「身はたとえ武蔵の野辺に朽ちぬとも留めおかまし大和魂」の辞世の句で結ばれました。


 次回、4月度の授業は、4月10日(日)を予定しています。第一時限は栗田亘先生、第二時限は加藤義隆先生(新横まぐろや代表取締役)をお招きして行います。

2016年3月3日木曜日

小田原寺子屋スクール 第七期生徒募集

 みなさんは、どんな夢や希望を持っていますか。将来、どんな人になりたいですか。あなたの夢や希望をかなえるために、学校や学習塾の授業、スポーツクラブでは学ぶことができない大切なことがあります。小田原寺子屋スクールでは、様々な世界で活躍されている先生方からその大切なこととは?について教えていただきます。また、先生方がみなさんと同じ年の頃にどんなことを考え、なぜその道に進もうと思ったのか、どんなことを実行してきたのかなど、貴重なお話を聴くことができます。
 これまでに、新聞記者、オリンピックの金メダリスト、宇宙の超新星を研究する博士、作家、女優、アナウンサー、画家、実業家、・・・と、多くの先生方に授業をしていただいています。みなさんも月に一度、小田原寺子屋スクールで一緒に学びませんか。
◆受講料:無料
対象者:小学校高学年、中学生、高校生

お申込みはこちら↓
上記にアクセスできない場合は、氏名(フリガナ)、学年、住所、保護者氏名、連絡先(電話番号)を記載の上、下記メールアドレスへお送りください。
問い合わせ先 070-3525-1058 寺子屋スクール事務局(川口)

第七期(平成28年4月~平成29年3月) 講義予定

◆第1時限 10:00~10:45
 元朝日新聞天声人語コラムニストの栗田亘先生に漢文や物語を解説して頂き、先人の教えを学びます。
◆第2時限 11:00~12:00
 各界で活躍されている先生方に「私の仕事・生き方・みなさんへの期待」などをお話し頂きます。

《平成28年》
 4月10日 加藤義隆先生  新横まぐろや代表取締役
       「高いところに登れば世の中がよく見える-悪ガキだった少年の話-」
 5月 8日 北村龍行先生  元毎日新聞論説委員 小田原出身
       「大きな会社の時代の終わり」
 6月12日 黒岩祐治先生(予定)  神奈川県知事
 6月26日 寺子屋公開講座 小田原市民会館小ホール
 (午後)  栗田亘先生   元朝日新聞天声人語コラムニスト
       「五十歩百歩」は「五十歩百歩」か-小田原寺子屋スクールの漢文授業-
       高橋宏先生   元東洋経済新報社会長 小田原出身
       「中国の経済とアベノミクスの行方」
       山口学先生   (株)関電工会長 湯河原出身
       「日本のエネルギーの課題」
 7月10日 小野直路先生  前NHK副会長 
        科学番組の作り方「人間の時間・地球の時間」

 8月21日 野外活動 飯盒炊さん  
 9月11日 小林輝夫先生  元二宮尊徳記念館長
       「豊かに生きる心のささえ -二宮金次郎の一生-」
10月 9日 瀬野和広先生  設計アトリエ代表取締役
       「手で考えるって楽しいな」
11月13日 宮崎みどり先生  千葉商科大学教授 国際教養学部長
       「世界を視る目 国際社会の動きの見方」
12月18日 石沢賢二先生  国立極地研究所 極地工学グループ
       「極寒と強風の中で活動する南極観測隊の生活」
《平成29年》
 1月 8日 山口憲明先生  前コナミ副社長
       「人生の転機と海外生活」
 2月12日 河合忠彦先生  筑波大名誉教授 小田原出身
       「薄型テレビ戦争においてソニー、パナソニック、シャープはなぜ敗れたのか」
 3月12日 (協議中)

2016年2月16日火曜日

小田原寺子屋スクール 平成28年3月度の授業予定

 次回、平成28年3月13日(日)の第二時限目の授業のお知らせです。

 「東海道の鉄道の歴史」 石塚正孝先生(元JR東海副社長)

 東京ー大阪間は始めは16時間半、新幹線が出来る直前は6時間半かかりました。それが、新幹線により 2時間半にまで短縮されました。昨年着工されたリニアになると1時間になります。リニアは日本が誇る世界最先端の技術なのです。

小田原寺子屋スクール 平成28年2月度の授業

平成28年2月14日(日)に2月度の授業を行いました。

【第一時限】 栗田亘先生

 今月は『論語』から2つの言葉を学びました。
 ◆己の欲せざる所は、人に施すこと勿かれ
 ◆利に放って行えば怨み多し
 人の気持ちになることが大切です、自分の利益ばかり考えていてはだめです、という教えです。これらの教えは、昨今のいじめの問題や最近ニュースになったスキーバスの転落事故、期限切れの冷凍カツが横流しされた事件に当てはめて考えることができることを教えて頂きました。
 『論語』は全部で512の短い文章から成り、その中には現代でも通用する言葉がたくさんあること、そのことが2000年以上にわたってずっと読まれてきている所以であることを解説して頂きました。

【第二時限】 桜井洋子先生(NHKアナウンサー)

 桜井先生は、NHKのアナウンサーとして活躍されています。授業の冒頭では、ナレーターを務められた NHK番組「ダーウィンが来た!」を映像で紹介して頂きました。擬声語・擬態語を意味する「オノマトペ」、同じ言葉や文章もどこで区切るかで意味が異なる「ぎなた読み」について分かりやすく解説して頂き、「言葉というものは氷山の一角のようなもの」という大岡信さんのメッセージとともに、日本語の言葉の奥深さや面白さを教えて頂きました。
 忘れられない言葉に、井深大さん、本田宗一郎さんの言葉や、「何様のつもりか」というお母様の言葉があり、子供たちにも生きて行く上での根っこになる言葉に出会って欲しいと結ばれました。


2016年1月13日水曜日

小田原寺子屋スクール 平成28年1月度の授業

平成28年1月10日(日)に1月度の授業を行いました。

【第一時限】栗田亘先生

 今月は、2016年最初の授業にあたり、「申年(さるどし)」について学びました。
 「申」という字は、稲光(いなびかり)の形から出来た象形文字で、動物の猿とはまったく関係がないことを分かり易く解説していただきました。「申」を「さる」と読むのは、十二支として使う場合だけということです。
 十二支は、古代中国の人が、十二年かけて太陽の周りを一周する木星を暦の基準にして、木星の毎年の位置を十二に分けて名前を付けたことに由来し、日本に伝わる時に覚えやすいように十二の動物をあてはめたことから、九番目の「申」という字を「さる」と読むようになったことを教えていただきました。また、古代中国の暦として使われた十干に因んで、「甲子園」、「子午線」、「丙午」、「甲乙つけ難い」などのことばの由来についても詳しく解説していただきました。

【第二時限】森武生先生(都立駒込病院 外科医)

 森先生は、消化器の外科医として国内、海外で活躍されています。医者になろうと思ったのは、生命を扱う仕事であり、人間が好きでその人たちを幸せにするにはどうしたらよいかと考えられたからだそうです。
 「初心」をしっかり持つことの大切さと、先生ご自身、世界に冠たる外科医になりたい、卒後教育制度の改革、生きたいと望む人への最大限の努力、大学を出よう、といった志を持っておられたことをお話いただきました。「臨床医療が人間学である以上、すべての外科医療に携わるものには豊かな人情と思いやりが必要である」というメッセージと、そのためには(医学書以外の)本をたくさん読むこと、という教えを説いていただきました。授業では、先生が描かれた水彩画とともに、その時々の心が表れる絵画の良さを紹介していただきました。

2016年1月3日日曜日

新年のご挨拶

平成28年1月1日
特定非営利活動法人小田原寺子屋スクール理事長
石塚正孝
 あけましておめでとうございます。
 
 お蔭さまで小田原寺子屋スクールは昨年2月にNPO法人として新たにスタートすることが出来ました。8月には小田原市と共催で公開講座を開催し多くの参加者から好評をいただきました。また9月に立ち上げたこのホームページも引き続きご覧ください
 この間、皆様にご支援ご協力を賜りましたこと厚く御礼申し上げます。


 寺子屋スクールの開講からすでに6年目になりました。新たな年の講義は1時限目はこれまで通りコラムニストで元朝日新聞「天声人語」筆者の栗田亘先生ご担当。2時限目は1月10日は世界的な外科医で都立駒込病院の森武生先生「なぜ医師の道に進んだか」、2月14日はご存知のNHKアナウンサー桜井洋子先生「本田宗一郎と井深大」、3月13日は作家新井恵美子先生「吉田松陰の妹ふみ」を予定しています。
(4月以降の講師は新年度に入る前にお知らせします)
 お時間がございましたらぜひ寺子屋スクールをお訪ねくださいませんか。


 本年もどうぞよろしくお願いいたします。